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【第4回】三浦 元裕さん(アイティアール 取締役 COO)

2015.10.13

ユーザー部門にも、製品を提供するベンダーにも「土地勘」あり。
両方が分かるからこそ出来る仕事。

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第4回目はアイティアール取締役 COOの三浦 元裕さんにお話を伺いました。
今回は一般の人にはイメージしづらい、ITアナリストのビジネス内容についても触れて頂きました。PR担当者の方がAR(アナリストリレーションズ)を兼務する事も多いと思うので、是非ご覧下さい。

企業のシステム部門への営業活動で鍛えられた「営業の基礎」


新卒でIT系の商社に入社した三浦さん。当時はまさにWindows 95が登場した時代でした。SEと一緒に提案に行き、コンパックのサーバや、Notes、Exchange serverなどのシステムを売りました。

「エンタープライズ系(企業向けIT)の商材は選択肢が無数にあります。でも、供給側の立場だと、どうしても自社で扱っている商品やサービスだけを売る事になる。それにとらわれずに全体の流れを見て、良いものを紹介したいと思い、幅広い製品にかかる事が出来るメディアへの転職を決意しました」

IDGに入社した三浦さん。Computerworld、 JavaWorldなどの媒体を担当する広告営業、出版販売、マーケティングの責任者として活躍しました。いくつかの新雑誌の創刊にも関わりました。

「当時はまだ紙の専門誌が主体となったイベント、Webサイト等があまり立ち上がっていない時期でした。Webを立ち上げたり、読者モニター会員にアンケートを行う新規事業を立ち上げて、今で言うLead Generation(見込み客を創出するマーケティング)に近い事もやりましたね。

営業は、広告主が何を望んでいるか、読者がどれくらい買ってくれそうかを考えながら編集部門のアイデアを形にするお手伝いをする仕事だと捉えていました」

商社のときは情報システム部門がお客様であり、メディアでは企業のマーケティング担当者や宣伝部門が三浦さんのお客様でした。

「この両方を体験しているうちに『ボタンの掛け違え』があるなと気づいたんです。ベンダー側は、情報システム部門に刺さらないマーケティングのメッセージを連呼するし、情報システム部門側も、ベンダーからの情報発信を単なる売込みとして遠ざける傾向がある。この両方を相手に仕事ができないかとCIOマガジンで接点のあったITRに入社しました。」

ユーザー部門にも、製品を提供するベンダーにも「土地勘」のあった三浦さん。「最大公約数」になりがちなメディアを補完する活動に力を入れることになりました。

ITRのサービスについて


ITRのサービスは大きく3つあるそうです。

「ひとつはユーザー企業の意思決定を支援するアドバイザリー/コンサルティングサービスです。様々な調査を行い、知見を持っているアナリストがユーザー企業の「これってどうすればいいの?」という迷いに対して「こんな進め方がベストプラクティスですよ」「調査で見るとこれが多数派です」「こんなやり方で成功した会社がありますよ」といった情報提供を行うものです。主に企業の情報システム部門に契約を頂いています。

2つめはベンダー向けのサービスです。「こういう打ち出し方でメッセージを作ったらいいのでは?」とユーザー部門の声を調べて、製品プロモーションの仮説検証のお手伝いをしています。

3つめは、リサーチのサービスです。第三者的に、伸びる分野や、シェアなどを調べて、どこの製品が売れているか等を調査したレポートを発刊しています」

情報が氾濫している現在、最終的に決定を迫られるユーザーに対して、ネットで調べられる情報、出入りのベンダーが持ち込む情報などとは視点の異なる、より具体的かつ中立的な情報をお届けしているとの事です。

アナリストは記者とは違う。こんなアナリストリレーションズが求められる


多くの企業では広報担当者が兼任しているAR(アナリストリレーションズ)。ベンダー側もアナリストにどう接したらいいのか、わからないこともあります。

「アナリストがうれしいのは、今後の戦略に基づくロードマップを教えてもらう事ですね。単なる製品機能の紹介よりも、今後、そのベンダーが顧客とどうつき合って行くつもりなのかも見えてきますから。考え方の変化、例えばクラウドにどのくらいコミットするかなど、(ユーザー部門がベンダーの)営業担当からは聞けない内容は是非知りたい所です。それはお客さん(ユーザー部門)にアドバイスする際にも重要な情報となりますから。こういったことをこまめにアップデートしてもらえると嬉しいですね」

更に三浦さんは続けます。
「外資系ベンダーは海外で開催される自社のイベントにアナリストを招待してくれたりするので、そこで現地のエグゼクティブから直接、最新の話を聞くことができます。日本のベンダーは、地の利があるにもかかわらず、こういう場が少ないように感じます。それから、産業アナリストは記者とは見ている視点が違うので、記者発表会などとは別に、ブリーフィングの場を作るのが良いのではないでしょうか。また、アナリストからARへコンタクトを取らせていただく際には、その背後にお客さんからの要望があるケースが多いので、たらい回しにせずにちゃんと情報発信をしてもらえたらありがたいです」

これらの話はAR活動のヒントになりそうです。
ITRさんではベンダーからのコンタクトはウェルカムとのことなので、同社のサイトから問い合わせてみるのも良さそうです。

企画を考え、形にするのが好きという三浦さん。うまくいかないと思ったらモノの見方を変えてみるそうです。これからのご活躍も楽しみです。ありがとうございました。