2015年9月アーカイブ

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大手食品メーカーを定年退職し、エム・エム・ジェイというコンサルティングサービスを立ち上げた棗田さん。Web広告研究会の元代表幹事でもあります。

黎明期からのホームページ作り


棗田さんとWebサイトとの最初の関わりは約20年前。大手有名食品メーカーに勤めていた頃になります。当時はまだ一般的ではなかった企業のWebサイトですが、有志のプロジェクトが発端となり、棗田さんもその担当となりました。
「サイトがローンチしたのは1996年の4月でした。Webから問い合わせができる仕組みも作ったのですが、なんと受けていたのは自分でした。今考えると信じられない緩さでしたね。Webの黎明期にあらゆることに取り組めたのが自分の財産になっています」

その後、他社のサイトを研究して自社に足りないものを見つけ、企業の情報コーナーに安全や品質管理の話、原料の話を加える等、少しづつ拡充していきました。
「当時はまだWeb広告研究会(この後、棗田さんは同団体の代表幹事になります)に関わっていなかったのですが、関わっていたら倍くらいの速度でWebサイトを改善して行く事ができたでしょうね。社外の優秀な人との意見交換はとても有意義で、学べることが多いのです」

思いつきから生まれた、成功の素。


棗田さんは、Webと連携した新しいことにも積極的に取り組みました。その1例が、当時在籍していたメーカーのインスタントスープの素となる、北海道の自社トウモロコシ畑に関わる活動です。
当時はまだ監視カメラとしての需要が中心だったライブカメラをトウモロコシ畑に据え、お客様がwebサイトを通して種まきから収穫までの成長を見守れるようにしました。ここからの発展が、地元の小学生の職業体験です。種まきから始まって収穫、そしてスープになるまでを体験してもらいました。

「これらのアイデアは単なる『思いつき』から始まっているのです。でも、単に思いついてもやってみないと何も起こりません。この活動がその後もずっと続いた事も非常に嬉しい思い出です。ただ、今の時代は何でもKPIは?などと聞かれ、自由に思いつきを形にする事がやりづらくなっているかもしれませんね」

歴史を知っていることで活動に深みが出る


「最近、インターネットビジネスに関わる人は本当に『今』のことを良く知っていますよね。でも、インターネットの歴史について何も知らない事が多いのです。知ったからと言って、急に売上げがあがったりするわけではないですが、活動に『深み』が出て、後で知識も活きて来ると思います。そんなわけで顧問先でインターネットの歴史について講義をすることもあるんですよ」

第一線の人々と対面で接することの重要性


今も外資系の著名なデジタルマーケティング関連企業を単独で訪問してレクチャーを受けたり、新しい広告モデルについて議論を戦わせたりとWeb広告業界の第一線の人々との交流を続ける棗田さん。Facebookのグループ機能を用いて、若い世代と広告について意見交換を行うグループも立ち上げました。

「今、Web広告に関わっている人が非常にユニークな事をしているなと思うんです。単なる「広告」の時代が終わり、活動も複合的になっている。例えばスマホで言えば、単に広告だけをプッシュしても、関心は持たれませんし、逆効果。そこで、位置情報を使って天気予報と一緒に広告を出すとかの工夫が必要となっている。Webサイトで言えば、クッキーを利用して閲覧した人にとにかく広告を出すという所から進化し、個人の興味関心に合わせて出し分けるようなことも始まっていますよね。無駄な広告配信がなくなれば、出し手にとっても受け手にとっても良い事です。こういった内容を第一線の人に直接会って話すと理解が深まります。また業界の人で集う会での思いつきから新しいサービスが生まれるのを目の前で体験する事もありました」

自分だけ得をしようとしたらうまくいかない。


実は今困っている事はビジネス的に依頼される「人の紹介」とのこと。知名度があり、メール1本でWeb業界のキーパーソンのアポを取る事ができるのですが、仕事に役立つ人脈紹介ばかりを期待されてしまうと「ちょっと違う」と感じています。

「いきなりコネで売り込もうとか、相手のことを考えていない一方的なアポ取りは協力出来ないですよね。一発で大事な人間関係が壊れてしまう。そんなわけで、そういう要望は断るようにしています」
そういった人柄が、数多くの著名人との継続的なおつきあいを生んでいるように思います。

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つい最近、ログミーの編集長に就任した鳴海さん。NAVERまとめで6000万を超えるPVを記録し「まとめ職人」と呼ばれたり、2013年に始めた個人ブログ「Blog @narumi」ではサラダチキンブームを生み出すなど話題の人物です。今回は鳴海さんにご経歴とメディア感、広報担当者との接点についてお話を伺いました。


大量のリリース起こしをこなした2年半


文章を書くのは元々得意だったという鳴海さんが突然、記者の仕事を始めたのは2004年秋。まったく知識のなかったインターネットに興味を抱き、その世界を知るリサーチになればと、IT系のインターネットニュースの出版社に入ったことがメディアに関わるきっかけとなりました。

「そこでは2年半くらいの間、ひたすらリリースを起こしていました(送られて来るプレスリリースを元にニュース記事を書いていました)。これがタイトルを付けたり、うまくまとめたり、ヤフトピに載るのを狙ったりする良い練習になりました」

その後、鳴海さんは別のメディアから声がかかり転職します。新しい職場ではいろいろなプロフェッショナルにインタビューをするようになったり、記事やサイトの企画をする機会が増え、「より一層考えて」仕事に取り組むようになったそうです。

「一番印象に残っているのはマーク・ザッカーバーグさんに取材させてもらったことですね。すごく若い男の子で、なんかつるんとしている印象(笑) こんな普通の若者があんな巨大なサービスを作ったんだ、とビックリしました」

実はあの"ジェイソン"さんをよく知らずに取材


取材を通じてSNSの盛り上がりを肌で感じた鳴海さんは再び転職します。ライブドア(現在のLINE)では、一般のブロガーの記事を届けるブログメディアである「BLOGOS」やニュースサイト「livedoor NEWS」などを経験し、「読者のために新しいことを」というスタイルで突き進んでいきます。

一方で個人で始めたNAVERまとめでは、ダイエットに関する1つのまとめ記事で3000万PVを記録するなど、大きな話題になりました。その後鳴海さんはダイエットの書籍も発売しています。

「とくに記者としてプロ意識がなく、自己評価が低かったのがよかったのかもしれません。取材能力や執筆能力がありすぎたら、NAVERまとめでも作るか、なんて思わないでしょう。自由な発想の元に『読者が読みたいものはなんだろう』と問う。そんな姿勢を持ち続けたいですね」

その後に始めた個人ブログでも多くの読者を獲得した鳴海さんは、2015年3月にIT企業に勤務する芸人でもあるジェイソンさんにブロガーとして取材しています。そのときの裏話を語ってくれました。

「実はテレビをあまり見ないので、ジェイソンさんを知らなかったんです。あわててYouTubeを見て取材に臨みました。会って話をして行くうちに、ジェイソンさんとダイエットの話題で意気投合して、あのような記事になりました」とのことです。

いままで数多くのインタビューをこなしてきたからこそ、臨機応変に対応できるようです。

会ったことがないPR会社からの情報も取り上げますが、理由があります


そして2015年6月、鳴海さんはログミーへ入社。直前にLINEで担当していたニュースアプリ「LINE NEWS」から、がらっと変わった環境への転職ですが、あまり意識は変わらないとのことです。

「なんというか同じ市内の学校のようなイメージです。今までもずっと『日本のウェブメディア業界』というところで働いてきたと思っています。そんな狭い世界ですから、転職といっても部署移動みたいなものじゃないですかね」

ログミーは新しいタイプのメディアです。講演や記者会見の内容を「カットせずに伝えてほしい」というニーズに応え、ほぼノーカットで長文の記事を届けています。

「いろいろな企業がイベントを開いていると思います。その場だけで終わるのではもったいないと思いますので、音声や動画を送ってもらってどんどん書き起していきたいですね」

昔も今もPR会社や企業の広報担当者からの連絡が多くあるといいます。

「お会いしたことがないPR会社さんから届いたネタも取り上げています。理由は、読者層とマッチしているから。大量にいろいろな媒体にネタをばらまくのではなく、読者に合っているものを持ってきてもらえると取り上げやすいですね」

今はブログは3日に1本くらい、普段はログミーで活躍している鳴海さん。ユニークなイベントなどがあれば、取材のお誘いは歓迎だそうです。